欠けていく世界で、きみの光を見つけた
「やっべーギリ間に合った!!」
そんな声が聞こえたと思ったら、ぴゅーんと音を立てるくらい勢いよく、後ろのドアから男の子が駆け込んできた。
席のすぐ横を通り抜けていく姿に、私はびくりと肩を揺らす。
「わっ!」
大袈裟なくらい驚いた私に、走っていた男の子も驚いたようで足を止めた。
「三浦ごめん!ビビらせた!」
「う、ううん。大丈夫」
小さな声で俯きながら言うと、その空気を和ませるようにひまりが口を出す。
「ほんと、坂田は落ち着きないな!」
「まじごめんって、ギリギリだったんだよ!」
「ふふ、教室は走っちゃダメだよ〜」
ふわふわと笑うふうかを最後に、坂田くんはひまりの前にある自席にリュックを置き、すぐに友達と話し始めた。
「やべー。三浦びびらせちゃった」
「本当だよ。お前最悪〜〜」
坂田くんたちの男の子の輪で、茶化すような会話が広がっていく。
「申し訳ない。でも、正直話せてラッキー」
「うわ〜、悪いな。でも確かにちょっと羨ましい。可愛いもんな三浦さん」
「あんまり喋んないからな〜」
「そこがレアでいいんだよな!」
ひそひそと話しているつもりなのかもしれないけれど、近くの席の私たちには聞こえてしまって、私は小さく俯いた。
「菜由〜?言われてるよ〜?」
ここぞとばかりににやりと笑ったひまりに揶揄われて、長い髪の隙間から覗く耳がかあっと熱くなる。
楽しそうに私のほっぺをつつく彼女に、私はふるふると頭を振った。
「~~っ、からかってるだけだよ!聞こえないふりしてよ」
言いながら、顔までほんのり赤くなるのを感じて、隠すように教科書を持ち上げる。
「いやいや〜。菜由の可愛さがわかるなんて、あいつら見る目あるよ」
「菜由ちゃん、人気者!」
「もう、ふうかまでからかわないでよ〜〜!」
恥ずかしさに耐えきれず大きく首を振ると、ふたりは顔を見合わせて揶揄うのをやめた。
「こんな菜由見たら、男子たち驚くだろうね」
「わかる〜。菜由ちゃん小学校のときはもっとみんなと話してたもんね。私、中学校になるまで菜由ちゃんがこんなに人見知りだって知らなかったもん」
二人の言葉に私はハッとして、教科書で隠したままの唇をぎゅっと結んだ。
ふたりの表情を順番に見つめると、優しくも困ったような笑顔が向けられる。
大好きで宝物のはずのふたりに、何も言えてない自分が申し訳なくなって、私は迷うように口を開いた。
——けれど。
「……小学校はみんな知り合いだったから」
少し間を置いて出た言葉は、やっぱり、誤魔化しの言葉だった。
そんな声が聞こえたと思ったら、ぴゅーんと音を立てるくらい勢いよく、後ろのドアから男の子が駆け込んできた。
席のすぐ横を通り抜けていく姿に、私はびくりと肩を揺らす。
「わっ!」
大袈裟なくらい驚いた私に、走っていた男の子も驚いたようで足を止めた。
「三浦ごめん!ビビらせた!」
「う、ううん。大丈夫」
小さな声で俯きながら言うと、その空気を和ませるようにひまりが口を出す。
「ほんと、坂田は落ち着きないな!」
「まじごめんって、ギリギリだったんだよ!」
「ふふ、教室は走っちゃダメだよ〜」
ふわふわと笑うふうかを最後に、坂田くんはひまりの前にある自席にリュックを置き、すぐに友達と話し始めた。
「やべー。三浦びびらせちゃった」
「本当だよ。お前最悪〜〜」
坂田くんたちの男の子の輪で、茶化すような会話が広がっていく。
「申し訳ない。でも、正直話せてラッキー」
「うわ〜、悪いな。でも確かにちょっと羨ましい。可愛いもんな三浦さん」
「あんまり喋んないからな〜」
「そこがレアでいいんだよな!」
ひそひそと話しているつもりなのかもしれないけれど、近くの席の私たちには聞こえてしまって、私は小さく俯いた。
「菜由〜?言われてるよ〜?」
ここぞとばかりににやりと笑ったひまりに揶揄われて、長い髪の隙間から覗く耳がかあっと熱くなる。
楽しそうに私のほっぺをつつく彼女に、私はふるふると頭を振った。
「~~っ、からかってるだけだよ!聞こえないふりしてよ」
言いながら、顔までほんのり赤くなるのを感じて、隠すように教科書を持ち上げる。
「いやいや〜。菜由の可愛さがわかるなんて、あいつら見る目あるよ」
「菜由ちゃん、人気者!」
「もう、ふうかまでからかわないでよ〜〜!」
恥ずかしさに耐えきれず大きく首を振ると、ふたりは顔を見合わせて揶揄うのをやめた。
「こんな菜由見たら、男子たち驚くだろうね」
「わかる〜。菜由ちゃん小学校のときはもっとみんなと話してたもんね。私、中学校になるまで菜由ちゃんがこんなに人見知りだって知らなかったもん」
二人の言葉に私はハッとして、教科書で隠したままの唇をぎゅっと結んだ。
ふたりの表情を順番に見つめると、優しくも困ったような笑顔が向けられる。
大好きで宝物のはずのふたりに、何も言えてない自分が申し訳なくなって、私は迷うように口を開いた。
——けれど。
「……小学校はみんな知り合いだったから」
少し間を置いて出た言葉は、やっぱり、誤魔化しの言葉だった。