欠けていく世界で、きみの光を見つけた
「いらっしゃいませ」
扉の前で立ち止まったカップルに、私は笑顔で扉を開けた。
「二名様、ご案内よろしくお願いします」
教室の中へ声をかけると、すぐに「はーい!」と元気な返事が返ってくる。
秋晴れの空の下、準備を進めてきた文化祭が、ついに始まった。
校内は朝からお祭りのような賑わいで、私たちのクラスの展示も、開店直後から大忙しだった。
暗い教室の中を案内する係は別にいて、私は廊下で受付と案内を担当している。
「星空カフェへようこそー!」
教室から顔を出したひまりが、ぱちりとウインクを残してお客さんを連れていく。
その姿に笑いながら、看板を抱え直して列へ視線を向けた、そのとき。
「よ。頑張ってるじゃん」
聞き慣れた声が、すぐ近くで響いた。
顔を上げると、少し照れくさそうに笑う泰ちゃんが立っていた。
「……泰ちゃん」
今日は、名前を呼ぶだけで、なんだか胸がくすぐったい。
目が合うだけで落ち着かなくて、私は思わず視線を逸らした。
「足、大丈夫か?」
最初に向けられた言葉に、ハッとして制服のスカートの裾から覗く包帯に視線を落とす。
「大丈夫だよ」
昨日、あの後病院で診てもらった結果は打撲。
湿布がずれないように足首のあたりまで包帯で固定されているけれど、文化祭に参加できないほどではなかった。
心配そうな表情が、昨日保健室で見た顔と重なって、私は小さく笑う。
「本当に大丈夫だから」
もう一度そう伝えながら、私は周りに目を向けた。
いつも一緒にいることの多い直哉くんや晴斗くんの姿は見当たらない。
「今日は、ひとりなの?」
「あー、あいつら後輩の展示見に行ったから」
二人きりだと意識してしまって、なんだか落ち着かない。
「そっか……」
思わず視線を落とした私に、泰ちゃんは少しだけ目を細めた。
「菜由〜〜交代の時間だけど、こっちもうちょっとかかりそうかも〜」
そのとき、ふうかが少しだけ扉を開けて顔を覗かせた。
申し訳なさそうに眉を下げていたけれど、私の隣にいる泰ちゃんに気づいた途端、その表情が柔らかく変わる。
「せっかくだし、ふたりで食べて行ったら?」
私たちがそろって目を丸くすると、ガラッとさらに大きく扉が開いた。
「いらっしゃいませ。席空いてます!」
あまりにも息の合ったふたりに、私と泰ちゃんは目を合わせる。
泰ちゃんは、少しだけ眉を下げたあと、そっと私の手を取った。
「せっかくだし、入るか」
不意に触れた温もりに胸が跳ねる。
驚いている間に手を引かれ、私はエスコートされるみたいに、泰ちゃんと一緒に暗闇の中へ足を踏み入れた。
扉の前で立ち止まったカップルに、私は笑顔で扉を開けた。
「二名様、ご案内よろしくお願いします」
教室の中へ声をかけると、すぐに「はーい!」と元気な返事が返ってくる。
秋晴れの空の下、準備を進めてきた文化祭が、ついに始まった。
校内は朝からお祭りのような賑わいで、私たちのクラスの展示も、開店直後から大忙しだった。
暗い教室の中を案内する係は別にいて、私は廊下で受付と案内を担当している。
「星空カフェへようこそー!」
教室から顔を出したひまりが、ぱちりとウインクを残してお客さんを連れていく。
その姿に笑いながら、看板を抱え直して列へ視線を向けた、そのとき。
「よ。頑張ってるじゃん」
聞き慣れた声が、すぐ近くで響いた。
顔を上げると、少し照れくさそうに笑う泰ちゃんが立っていた。
「……泰ちゃん」
今日は、名前を呼ぶだけで、なんだか胸がくすぐったい。
目が合うだけで落ち着かなくて、私は思わず視線を逸らした。
「足、大丈夫か?」
最初に向けられた言葉に、ハッとして制服のスカートの裾から覗く包帯に視線を落とす。
「大丈夫だよ」
昨日、あの後病院で診てもらった結果は打撲。
湿布がずれないように足首のあたりまで包帯で固定されているけれど、文化祭に参加できないほどではなかった。
心配そうな表情が、昨日保健室で見た顔と重なって、私は小さく笑う。
「本当に大丈夫だから」
もう一度そう伝えながら、私は周りに目を向けた。
いつも一緒にいることの多い直哉くんや晴斗くんの姿は見当たらない。
「今日は、ひとりなの?」
「あー、あいつら後輩の展示見に行ったから」
二人きりだと意識してしまって、なんだか落ち着かない。
「そっか……」
思わず視線を落とした私に、泰ちゃんは少しだけ目を細めた。
「菜由〜〜交代の時間だけど、こっちもうちょっとかかりそうかも〜」
そのとき、ふうかが少しだけ扉を開けて顔を覗かせた。
申し訳なさそうに眉を下げていたけれど、私の隣にいる泰ちゃんに気づいた途端、その表情が柔らかく変わる。
「せっかくだし、ふたりで食べて行ったら?」
私たちがそろって目を丸くすると、ガラッとさらに大きく扉が開いた。
「いらっしゃいませ。席空いてます!」
あまりにも息の合ったふたりに、私と泰ちゃんは目を合わせる。
泰ちゃんは、少しだけ眉を下げたあと、そっと私の手を取った。
「せっかくだし、入るか」
不意に触れた温もりに胸が跳ねる。
驚いている間に手を引かれ、私はエスコートされるみたいに、泰ちゃんと一緒に暗闇の中へ足を踏み入れた。