初恋の続きはトキメキとともに。
「――うっわ〜、それ、明らかに匂わせじゃん! いるよねぇ、そういうことする女!」

「これってやっぱり洸くんに対するメッセージ、だよね……?」

「だろうね。きっと“かまってちゃん"なんじゃん。てかイケメン先輩はこの投稿に気づいてんのかな? なんか言ってなかったの?」

「……どうだろう? あんまりSNSを見る人ではないと思うけど……実際のところは分かんない。2人が再会してたのも全然気づかなかったくらいだから」

思わずはぁと私がため息を溢して目を伏せると、「ねぇ」と真面目なトーンで呼びかける茉侑の声が耳に届いた。

視線を上げれば、思いのほか真剣な面持ちをした茉侑と目が合う。

「さっきは邪魔が入って言えなかったんだけどさ……遥香、一度ちゃんとイケメン先輩と話し合ってみたら?」

「話し合う……?」

「そう、遥香が不安に思ってることも率直に打ち明けて、全部聞いてみるべきだよ! だって今はもう一方的に見つめてた頃と違って、対等に向き合う関係なんだから! ね?」

茉侑の助言はたぶん正しい。

私は1人でウジウジ悩んでないで、思い切って洸くんに問いかけてみるべきなんだろう。

でも、残念ながら私にはそれができそうにない。

 ……同じ高校の後輩だった事実を明かさないと、水原先輩のことは訊ねられないもの。

そこを話さない限り、私が洸くんの元カノを知っている状態は極めて不自然だ。

ただし、事実を打ち明けてしまえば、同時に地味で冴えなかった頃の自分を知られてしまう。

それは絶対に嫌だった。

洸くんには知られたくない。

あんなに美人な彼女がいた人だからこそ尚更。

結局、私は過去を知られたくないがために話し合いを避け、不安をそっと胸に閉まっておくことに決めた。

自分で現状維持を選択したのだから、これ以上は気にしないでおこうと吹っ切ったつもりだった。

だけど、この日をキッカケに、心の奥底に潜んでいた不安は、知らず知らずのうちに大きく芽吹き始め、ジワジワと私を蝕んでいく。

水原先輩のインスタ投稿を目にするたびに、胸が掻き乱され、洸くんの反応をチラチラ盗み見るようになった。

キスをしたり、体を重ねたりした時には、もしかしたらこれが最後になるのかな……と切なさが胸を掠めた。

表面上はいつも通り。

一方で、心の中はいつ終わりを告げられるのかと常にビクビク。

そんな日々がしばらく続いた。

そしてある日、ついに私の不安が――形を持って、目の前に現れた。
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