初恋の続きはトキメキとともに。
洸くんは食器の買い替えを考えているらしく、真剣な顔で色々見比べていた。

意見を求められたので、私もお皿を覗き込んで、思ったままに答えた。

すると……

「いいね、それにしよう。その食器セットを2人分購入決定で」

「えっ、2人分、ですか?」

「俺の家に来た時、遥香も使うでしょ? あと、他に何か欲しいものある? 遥香が足りないと感じる物は買い足してくれていいから」

さも当たり前のように言われて、私は思わず言葉を失う。

これではまるでこれから同棲を始める仲良しカップルのようだ。

 ……なんで? 水原先輩とやり直すのなら、他の女性と選んだ食器なんて家に置かない方がいいのに……。

喉まで出かかった疑問を、私はぐっと呑み込み、笑顔の裏にそっと隠した。

「お待たせ。次行こうか」

私が言葉に詰まっている間に、お会計を済ませていた洸くんの手元には、今2人分の食器が入ったショップ袋が握られている。

冷静に考えて、洸くんの言動は恋人との別れを考えている人のそれではない。

 ……ということは、水原先輩とやり直すかもっていう想像は私の勘違い? もしかしてSNSも別に匂わせとかじゃなく、全然洸くんとは関係なかったのかな?

そんな希望的観測が芽生えてくる。

でもその直後、ふわりと気持ちを浮き立たせた私を嘲笑うかのような出来事が起こった。

高級ブランドショップが建ち並ぶエリアに来た時のことだ。

隣を歩いていた洸くんがふいに一瞬立ち止まった。

不思議に思ってその視線の先を追うと、そこにはファッション雑誌から抜け出したような美女が、風に揺れる長い髪を靡かせてショップの前に佇んでいた――“あの人”だった。

その姿を見た瞬間、胸の奥がひやりと凍りついた。

「……洸くん?」

恐る恐る名前を呼ぶと、洸くんはわずかに肩を揺らし、ハッとしたように目を瞬かせた。

けれど次の瞬間、何事もなかったように微笑む。

「ごめん、偶然知り合いを見つけて、ちょっと驚いてたんだ」

「……そうなんだ」
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