初恋の続きはトキメキとともに。
「でも、目で追ってるうちに、気づいた。南雲さんの視線の先は……いつも広瀬主任だって。だから言うつもりなかった。――今この瞬間までは」

少し間を置くと、結城くんは私を抱きしめる腕に力を込め、再びゆっくり口を開く。

「……そんな辛そうな顔するなら、広瀬主任なんて辞めて、俺にしなよ」

真剣な眼差しで射抜かれ、心臓が大きく飛び跳ねた。

まさかの出来事に気が動転して、思考はぐちゃぐちゃ。何も考えられない。

「あ、え、その……み、みんなの分の飲み物を買いに来た途中だったから、早く戻らなきゃ……! ま、待たせちゃうから!」

どうしたらいいか分からなくなった私は、混乱する頭で、なんとかそれだけ言葉にした。

そして、結城くんの腕の中から抜け出し、逃げるように走り出した。

混乱と動揺で心臓がバクバクと鳴っている。


「おっ! オレを癒してくれる飲み物の到着だ! 南雲さん、遅かったけどなんかあった?」

「えっ? ううん、特には! ごめん、待たせちゃって」

「遥香さーん! この申請書、今日中に総務に提出しなきゃなんですけど、ちょっと見てもらえませんかぁ?」

「あ、うん。分かった!」

オフィスに駆け込むと、久我くん&高梨さんコンビのいつもの賑やかさに迎えられた。

その光景に、ようやく日常へ戻ってきた気がして、私はこっそり安堵の息を吐く。

ふと隣の席を見やると、先程まではなかったお菓子の箱が置かれていた。

「あ、それ主任からの差し入れですよ! 遥香さんもぜひどうぞ!」

何気ないその一言に、心臓がひときわ強く跳ねた。

今このタイミングで洸くんの名前を聞くなんて。思わず胸の奥がざわめく。

「広瀬主任、マジ忙しそうだわ。一瞬だけオフィス戻ってきたかと思うと、また井澤課長と連れ立って出て行ったし。なんかいつになく焦ってたけど、オレの気のせい?」

「主任が焦る? まっさかぁー! きっと久我さんの見間違えですよ。どんなに忙しくてもいつも余裕の笑顔じゃないですか!」

2人の会話を聞き流しながら、スマホに新着メッセージが届いていることに気づいた。

なぜか今すぐ見なきゃいけない気がして、画面を開く。

――『話したいことがある。何時になってもいいから今夜会える?』

不穏な気配を漂わせる洸くんのメッセージに、私は息を呑んだ。
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