初恋の続きはトキメキとともに。
 ……寝たの、3時過ぎだったもんね。

今日も朝から仕事なのに、夜更かししてしまった。

そっと体を起こし、乱れた髪を手櫛で軽く直す。

洗面所で鏡を見ると、ほんの少しだけ目の下にクマができていた。

でも、それが気にならないくらい、不思議と表情は明るい。

その時、背後で布団がかさりと動く音がした。

振り返ると、洸くんがまだ半分夢の中みたいな顔で笑っていた。

「おはよう。……もう起きるの?」

「おはようございます。はい、そろそろ準備始めないと、出社時間に間に合わなくなりますよ」

「……あと5分だけ」

そう言って洸くんは腕を伸ばし、私の手首をゆるく掴む。 

ベッドの中に引き摺り込まれ、あっさりと腕の中に囲われてしまった。

「……寝不足なのに、なんだかスッキリした顔してますね?」

「昨日、ちゃんと遥香と話せたからね」

「……私も、ずっと抑え込んでいた胸の中の不安が消えました」

「良かった。これでやっと両想いになれた気がするよ。――もう絶対離さないから」

寝起きの掠れた声でそう言って、洸くんは冗談めかして私をぎゅーっときつく抱きしめる。

息が苦しくなるほどの抱擁に、私は頬を少し赤らめ、くすくすと小さく笑った。

昨日まで黒く塗り潰されていたのが嘘のように、今の私の心は爽やかに晴れ渡っていた。

 ……勇気を振り絞って、心の内を全部曝け出して良かった。


あと2時間もしたら、また年度末の慌ただしさに忙殺される。

寝不足の今、きっと体力的にはしんどいだろう。

でも、それをものともしないくらい心は軽く、気力に満ち溢れている。

今ならいつも以上のスピードで仕事を捌けそうな気がした。
< 115 / 119 >

この作品をシェア

pagetop