初恋の続きはトキメキとともに。
そうこうしているうちに、目的地の温泉旅館に到着した。

チェックインを済ませると、私達は周辺の散策へ繰り出す。

青空の下きらきらと水面が光る湖や、花々が咲き誇る高原、神聖さ漂う神社などの観光スポットを、手を繋いでゆっくり歩いて見て回った。

開放的な景色に心が洗われ、眺めているだけでリフレッシュになる。

「海もいいですけど、湖も絶景ですね!」

「ははっ、遥香は自然豊かな景色を見る時、いつも目を輝かせてるね」

「だって、すごく綺麗ですから! ここからの眺めも最高です!」

しばらくの散策の後、私達は湖を望むテラスが人気のカフェでひと休みしていた。

冷たい飲み物を注文して喉を潤す。

観光地ではあるものの、平日ということもありそれほど混んでおらず、カフェの中には穏やかな時間が漂っていた。

その時、店内のBGMからソラリスの『夜空のリフレイン』が流れてきた。

曲を聴きながら、「そういえば、この地はソラリスと(ゆかり)のある場所だったな」と思い出す。

洸くんも音楽に耳を留めたようで、ふと顔を上げた。

「これ……結城くんからライブに誘われたバンドの曲だっけ?」

「はい、そうです」

「遥香を疑ってるわけじゃないんだけど……結城くんとは、その後どうなったの? そういえばちゃんと聞いてなかったなと思って」

少し間を置いて、洸くんは静かにそう切り出した。

声の調子は穏やかで、探るような色はない。

ただ、ほんの少しだけ、言葉を選んだような気配があった。

「ちゃんと話しましたよ。私は洸くん一筋で、洸くんしか見えてないから、って」

「……それで、納得してくれたの?」

「はい。もともと結城くんは、私が不安を溜め込みすぎて、酷い顔をしていたことを心配してくれていたので。何の憂いもないスッキリとした顔で伝えたら、良かったねって言ってくれました。あ、私達の関係は秘密にするって約束もしてくれましたよ」

「そこはあんまり心配してないよ。結城くんは周囲にペラペラ喋るタイプでもないしね」

そう言って微笑んだ洸くんの声には、どこか安堵が滲んでいた。
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