初恋の続きはトキメキとともに。
もしかしたら、不安にさせていたのかな、と今更ながらに申し訳ない気持ちになった。

長い間、手の届かない憧れの人だったせいで、私は洸くんを自分とは違う、完璧な人だと思い込んでいた。

でも、実際はそうじゃない。

洸くんだって、心の奥に不安を燻らせることがあるのを、今の私はもう知っている。

だから洸くんを安心させたい一心で、私はある秘密を打ち明けることにした。

「結城くんとソラリスの話になったのは、『夜空のリフレイン』がキッカケだったんですけど……そもそもこの曲に私が思い入れがあったのは、高校時代、洸くんに片想いしていた時によく聴いていたからなんです」

「そうなの?」

「はい。一方的に見つめる恋だったけど、この曲を聴くと好きな人がいるだけで幸せだなって思えて。洸くんのことを想いながら、何度も何度も聴いちゃってました。……ごめんなさい、重いですよね。引いちゃいました……?」

口にしてから改めて考えると、ストーカーじみて気味悪く思われたかもしれないと心配になった。

そろりと反応を窺うと、なぜか洸くんは伝票を持っていきなり立ち上がった。

「こ、洸くん?」

「旅館に戻ろう。ここじゃ満足にキスもできない」

目をパチクリする私に、「もう観光は十分満喫したよね?」と洸くんが微笑む。

そのまま手を引かれて旅館に舞い戻った私は、夕食の時間になるまでの間、身も心も蕩けるような至福のひと時を過ごした。


こうして、のんびり穏やかで、甘く満ち足りた休暇を楽しんだ――旅館で迎える最後の夜。

夕食を終えた私達は、部屋に備え付けの露天風呂に一緒に浸かっていた。
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