初恋の続きはトキメキとともに。
#01. 突然の辞令
「えっ、私が異動、ですか……?」
梅雨入りのニュースがテレビの天気予報を賑わせている6月初旬。
私は突然上司から呼び出され、絶え間なく降り続く雨が窓から見える会議室で異動の辞令を言い渡された。
4月の異動シーズンはとっくに過ぎている。
完全に時期ハズレの異動だ。
全く予期しない、まさに寝耳に水の出来事だった。
そのため私は言葉を詰まらせ、目を見開きながら課長の顔を見つめた。
「南雲さんが驚くのも当然だよね。時期ハズレの異動だからね。今回は欠員が発生したことによる急な辞令らしいよ」
「そう、なんですか。……それで、異動先はどこになるんでしょうか?」
「ホームケア事業部の本社営業部・営業一課が南雲さんの次の職場だよ。7月から営業アシスタントとして頑張ってね」
「ほ、本社!? しかも営業部ですか!?」
異動先を聞いて私は再び驚きの声を上げる。
私の勤務先である『青葉ホールディングス』は、洗剤、シャンプー、ハンドソープ、歯磨き粉など生活に密着した商材を扱う大手総合日用品メーカーだ。
その中で私は入社以来5年間、神奈川支社の総務部で働いてきた。
そう、つまりこの辞令は私にとって入社6年目にして初めての異動。
なおかつ勤務地も、部署も、変わることになるのである。
言い表しようのない不安が胸に込み上げてきて、私は膝の上に乗せた手をギュッと握りしめながら無意識に眉を下げた。
そんな私の心情を察したらしい課長は、仏様のように柔和な顔つきで励ましてくれる。
「そんなに心配しなくても大丈夫。南雲さんにはこれまで培ってきた経験があるから、本社営業部でも十分通用するはずだよ。僕が保証する」
「そう、でしょうか……」
「本当に頼りになるから、僕としては部下の南雲さんがいなくなるのは痛手だけどね。でも君にとってはこの異動はさらなる成長に繋がる良い機会になると思うよ。これまでと違う環境で新たな経験を積むのは今後の南雲さんのために絶対になるから」
梅雨入りのニュースがテレビの天気予報を賑わせている6月初旬。
私は突然上司から呼び出され、絶え間なく降り続く雨が窓から見える会議室で異動の辞令を言い渡された。
4月の異動シーズンはとっくに過ぎている。
完全に時期ハズレの異動だ。
全く予期しない、まさに寝耳に水の出来事だった。
そのため私は言葉を詰まらせ、目を見開きながら課長の顔を見つめた。
「南雲さんが驚くのも当然だよね。時期ハズレの異動だからね。今回は欠員が発生したことによる急な辞令らしいよ」
「そう、なんですか。……それで、異動先はどこになるんでしょうか?」
「ホームケア事業部の本社営業部・営業一課が南雲さんの次の職場だよ。7月から営業アシスタントとして頑張ってね」
「ほ、本社!? しかも営業部ですか!?」
異動先を聞いて私は再び驚きの声を上げる。
私の勤務先である『青葉ホールディングス』は、洗剤、シャンプー、ハンドソープ、歯磨き粉など生活に密着した商材を扱う大手総合日用品メーカーだ。
その中で私は入社以来5年間、神奈川支社の総務部で働いてきた。
そう、つまりこの辞令は私にとって入社6年目にして初めての異動。
なおかつ勤務地も、部署も、変わることになるのである。
言い表しようのない不安が胸に込み上げてきて、私は膝の上に乗せた手をギュッと握りしめながら無意識に眉を下げた。
そんな私の心情を察したらしい課長は、仏様のように柔和な顔つきで励ましてくれる。
「そんなに心配しなくても大丈夫。南雲さんにはこれまで培ってきた経験があるから、本社営業部でも十分通用するはずだよ。僕が保証する」
「そう、でしょうか……」
「本当に頼りになるから、僕としては部下の南雲さんがいなくなるのは痛手だけどね。でも君にとってはこの異動はさらなる成長に繋がる良い機会になると思うよ。これまでと違う環境で新たな経験を積むのは今後の南雲さんのために絶対になるから」