初恋の続きはトキメキとともに。
「あれ? テレビ消したの?」

「はい。聞こえづらいかなと思って」

「そっか。遥香の声がさっきよりよく聞こえるようになって俺も嬉しいよ」

「! そ、そうですか。良かったです……!」

「そういえば、遥香、研修はどうだった? 俺も何年か前に同じ研修受けたことあるけど、結構ハードだった覚えがあるよ」

「はい、すごくハードでした! 頭がパンクしそうでしたし、今も疲れでへろへろです。でも、とても学びの多い研修でした! 特にケーススタディでは――……」

そこから私は研修での出来事を掻い摘んで話した。

洸くんが相槌を打って聞いてくれるので、するする言葉が出てくる。

ひと通り私が研修のことを話し終わると、続いて洸くんも出張での出来事を話してくれた。

今は宿泊先のホテルから電話してくれてるそうだ。

移動が多く疲れていたため、起きたのは昼過ぎだったという。

「――とまぁ、俺はそんな感じ。予定通り来週の半ばには東京に戻るよ。仕事のせいで今週末会えなくてごめんね」

「全然大丈夫です……! 仕事が優先ですから。気にしないでください!」

「全然、って言い切られるのも寂しいもんだね。俺は遥香に会いたいのに」

「………ッ」

ストレートに「会いたい」と言われて私は言葉を詰まらせた。

洸くんが私と同じ気持ちでいてくれることが嬉しくて、胸がじんわり温かくなる。

「でも会いたいと思ってるのはきっと俺だけなんだろうなぁ。……遥香はメールも、電話もしてこないし」

そんなことない、と咄嗟に口走りそうになったけど、私は寸前で言い淀んだ。

というのも、メールも電話も私からしていないのは事実だったからだ。

 ……だってあの『広瀬先輩』に対して私から連絡させてもらうなんて恐れ多くって。それに、“会いたい”なんて我儘は口が裂けても言えないよ……! 

それに、いつかこの関係は終わってしまうのだから、深入りしちゃいけない。

そう思うと、行動にブレーキが無意識にかかる。

「ああ、ごめん。別に遥香を責めてるわけじゃないから。そこは勘違いしないで。ところで来週末は予定空いてる?」

私が口ごもったからか、その後洸くんはさっさと話を変えてしまった。

来週末に会う約束をして、その日はどこに行くか、何をして過ごすかを楽しく話し合って電話を終える。

電話を切った後も私は余韻に浸るかのように、しばらくの間ソファーの上でじっとしていた。

来週末のデートに思いを馳せると胸が高鳴る。

洸くんと恋人として過ごせる時間は有限だからこそ、その時々を大切にしたい。

その後ふと思い出して、ソラリスの『夜空のリフレイン』を流し、私は好きな人がいる幸せを噛みしめたのだった。
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