幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

 章くんが高比良総合病院にやってきて一週間。

 昼休みに院内コンビニで買ったパンや牛乳を持って屋上庭園を訪れると、ベンチでひとり休憩をする章くんの姿があった。

「章くん、お疲れさま」
「美葉。休憩? 隣どうぞ」
「ありがとう」

 章くんが少し腰をずらして、ベンチにスペースを空けてくれる。彼の親切に甘えてそこに腰かけると、私は持っていたパンを開封し、「いただきまーす」とかぶりついた。

 晴天の屋上庭園は今日ものどかな雰囲気で、心が和む。

 目線の先では車椅子の患者が看護師と一緒に散歩していて、降り注ぐ日差しに目を細めている。

 よく見ると、車椅子を押しているのは小森さんだった。彼女には一度洸とのことを聞かれたけれど、あれ以来何も言ってこないから、無事にあきらめてくれたのかな……。

 そう思いながらなにげなく彼女を見ていると、ふいに目が合う。心の声が聞こえるはずはないけれど、なんとなく気まずくてパッと目を逸らした。

 気を取り直すように章くんに話しかける。

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