幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「よし。……じゃあ、なにか作るか」
そう言った彼は普段の落ち着きを取り戻していた。
さっきの抱擁はなんだったんだろう。まだ胸の高鳴りが収まらない。
「手伝っていい?」
「海老を惨殺しないならな」
洸がそう言って、少し意地悪な笑みを見せる。
……やっと笑ってくれた。それに、ふたりで過ごした連休の思い出を口にしてくれたのもうれしい。
「大丈夫だよ、今、うちの冷蔵庫に海老はないから」
「そういう問題か?」
鼻で笑われつつ、ふたりでキッチンへ向かう。
結局、どうして彼が院長の誘いを断ったのかも、章くんに冷たく当たる理由もわからないまま。
だけど、洸が話さないということは、今は言いたくないのだろう。
私たちは結婚してずっと一緒にいられるのだから、彼が話したくなるのを気長に待とう。
自分の中でそう決めると、少し心が楽になった。