幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「酔ってるからって恥ずかしいこと叫ぶなよ、美葉」
隣で呆れているのは、一緒に結婚式に参列していた幼なじみ。幼稚園から高校まで一緒で、実家のマンションも近所だという腐れ縁の同級生、高比良洸だ。
私は今も実家暮らしだし、ひとり暮らしの洸も今日は実家のマンションへ帰る予定なので、自然と送ってもらう流れになったのだ。
洸のきっちりと七三に分けられていた前髪が夜風ではらりと垂れ、物憂げに細められた目にかかっている。
昔はぱっちりとした二重がかわいい印象だったのに、ずいぶん大人っぽい表情をするようになった。
「だって結婚したいんだもん……」
こんな本音は、幼なじみの洸にしか言えない。
職場で〝仕事ひと筋の麻酔科医〟として振る舞っている私が、時には誰かに寄りかかったり、甘えたりしたいと思っているなんて、知られたくないもの。
「ま、今日のメンバーで独身なのは俺たちだけだったから焦るのもわからなくはないけど」
「でも、洸はモテるじゃない。私と違って、結婚しようと思えばすぐにできるでしょ」