幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
エピローグ

 心暖が生まれてから、三回目の春がやってきた。

 実家の両親たちが、間もなく迎える心暖の三歳の誕生日のお祝いをしてくれるというので、私たち夫婦は心暖を連れて、マンションからのんびり実家の方向へ歩いている。

 心暖は生まれて間もない頃に熱を出したこともあったし、保育園に通うようになると毎月のようになにか病気をもらってきた。

 保育園からの電話に怯えつつそれでもなんとか夫婦で協力して仕事は続け、心暖も今ではだいぶ体が丈夫になった。

「あ、ママー、こうえんいきたい」
「少しだけね」
「うん!」

 両親たちを待たせてしまうかもと思いつつも許可してしまったのは、公園の桜が綺麗だったからだ。

 ここへ来ると色々な記憶を思い出す。洸や章くんと遊んだ幼い頃のこと、洸に結婚を持ち掛けられたあの夜のことも――。

「パパ、おーしーて」

 気が付けば、心暖はブランコに座って洸を呼んでいた。

「これからじぃじとばぁばたちに会いに行くのに乗るの?」
「のるのー!」

 元気よく宣言した心暖に、洸が『かわいいなぁ』という蕩けた笑顔になる。

 これでダメと言ったら心暖が機嫌を損ねて余計に時間をロスしそうだし、なにより今日は心暖の誕生日。主役の要望には応えてあげたいのが親心だ。

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