幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家

「よし。じゃあ小春、いくぞー」
「うん。ゆっくりだよパパ。こわいのだめよ」
「ははっ、そういうところは俺に似てるんだな」

 心暖と自分の共通点を見つけて、嬉しそうな洸。私はスマホのカメラを構えて、ふたりの様子を動画で撮り始める。

 撮られていると気づいた洸が、心暖のブランコを押しつつ、カメラ目線になる。

「もしかして心暖の結婚式用? 俺、絶対その動画見て泣く自信あるんだけど」

 あからさまに憂鬱な顔をする洸に、思わず吹き出してしまう。

「どれだけ気が早いのよ。心暖はまだ三歳なのに」
「俺は三歳の時すでに美葉のことが好きだった」
「……そう言われれば、そっか」

 洸の場合は特殊なケースのような気もするけれど、あり得ない話ではない。

 私はブランコに揺られて楽しそうな声を上げる心暖に、カメラを回したまま問いかける。

「ねえ、心暖。保育園に好きな男の子いる?」
「んー、ほいくえんにはいない」
「だって、洸。よかったね」

 心暖の返事を聞いてホッとしてくれるかと思いきや、洸は眉根をギュッと中央に寄せると、ブランコの鎖を握って揺れを止めてしまう。

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