幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「美葉? どうした?」
『友情結婚、さっきの読んでなんとなくわかったけど……洸はいいの?』
「いいってなにが?」
『私と違って、洸は恋愛しようと思えばできるでしょ? なのにわざわざ私と結婚するなんて、貧乏くじを引くようなものじゃない』
美葉はそう言って、自虐的に笑う。仕事中はあんなに堂々としているのに、恋愛においてはとことん自己肯定感が低いらしい。
ただ、彼女が俺以外の男と親しくならないようこれまで長年根回ししてきたのは俺自身なので、ごめん、と少しだけ思う。
しかし、すべては俺自身が美葉を幸せにするための布石。彼女のこれまでもこれからも、全部丸ごと愛すから許してほしい。
「別に恋愛なんてしたくない」
そっけなく告げた後、『美葉以外とは』と、心の中で呟く。クールなキャラを演じていると、飲み込まなくてはいけない言葉が多すぎるので大変である。
『そっか。仕事忙しいもんね。恋愛している暇がないっていうのは、ちょっとわかる』
美葉は俺が恋愛したくない理由を仕事のせいだと勝手に解釈したようである。
間違ってはいるが、とりあえず否定しないでおく。下心がないと思われていた方が、変な警戒心を持たれずに済むだろう。