幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
ついぺらぺらと本音を明かすも、電話の向こうの美葉は押し黙っていた。
流れる沈黙に軽く動揺し、もしかして引かれたか?と今さら後悔する。いくらなんでも突然キャラを変えすぎたかもしれない。
俺は気まずさをごまかすように、ゴホンと咳払いした。
「……今の、忘れて。友情結婚には不必要な発言だった」
『う、うん』
一度カッコイイと言われたくらいで調子に乗った結果がこれだ……。まだまだ修行が足りないようだと、自分を戒める。
『でもうれしかった。ありがとね。……結婚のことも、ちゃんと考えてみる』
後悔の渦にのまれていた俺の耳に、照れくさそうな声が届く。
胸の奥がつねられたようにキュッと痛み、やっぱり美葉が好きだと、荒れ狂う海に向かって叫びたいような衝動に駆られる。
この辺りに海はないし、全くクールな行動ではないのでもちろん却下だが。
「ああ。俺たちならきっとうまくいく」
『うん。……なんだか私もそんな気がしてきた』