私の理想の王子様
 それは以前、間宮が百貨店イベントのデモンストレーションでやっていたように、右半分が朝子の顔で、左半分が朝哉の顔というものだった。

 ミチルから表紙の依頼の話を聞いた時、インパクトのある表紙として、朝子の頭の中に一番にこの案が浮かんだ。


『ビーミーシリーズを使えば、年齢や性別に関わりなく、なりたい自分をいつでも手に入れる事ができる。いつでも、だれでも、王子様になれる』

 このメッセージを、パッと見た瞬間に伝えるには、この方法が一番効果的だと思ったのだ。

 そして朝子の予想は見事に的中した。

 ビーミーシリーズは瞬く間に話題の中心となっていったのだ。


 タウン誌が発行されると同時に、本社やコールセンターには問い合わせの電話が殺到し、百貨店の店舗には多くの人が押し寄せた。

 当然表紙の画像はSNSでも拡散され、一時は“ビーミーシリーズ”という検索ワードがランキングの上位になったほどだ。

 そして朝哉は再びSNSで話題となり、ビーミーシリーズで王子様になろうという投稿まで見られるようになった。


「さぁ、忙しくなるわよぉ」

 手ぐすね引くように気合いたっぷりの由美の予言通り、それからしばらく朝子は目の回るような忙しい日々を過ごしたのだ。
< 132 / 147 >

この作品をシェア

pagetop