私の理想の王子様
 朝子は皆に祝福されながら、神父様の前まで来ると、須藤と向き合った。

 その瞬間、朝子の脳裏に男装メイクを始めてからの日々が一気に思い出される。

(私は理想の王子様を求めてた)

 朝子はそう考えながら、でもふと思う。

 理想の王子様って何だったのだろうと。


 朝子が求める本当の理想の王子様は、二次元の世界の王子様でも、ましてや自分自身が演じた王子様でもない。

(私が、私らしくいられる人……)

 演じるのではなく、素直に自分自身をさらけ出せる人。

 そう思える人に出会えた時、その人が自分にとっての理想の王子様なのではないだろうか。


「朝子」

 須藤の優しい声に朝子はゆっくりと顔を上げる。

「瑛太さん」

 朝子は須藤を見つめると、そっと口を開いた。

「私は瑛太さんを一生守りぬくと誓います」

 朝子の言葉を聞いた途端、須藤は時が止まったように目を丸くしていたが、次の瞬間あははと声を上げると楽しそうに笑い出した。

「やっぱり朝子には敵わないな」

「ちょ、ちょっと、瑛太さん! 笑いすぎです」

 朝子は顔を真っ赤にすると、お腹を抱えて笑い出す須藤の顔を見上げる。


(あぁ私の王子様は、よく笑う王子様だ。そして愛しくて、大好きな人……)

 王子様の笑い声は優しい風に乗って、いつもまでも響き渡る。

 そしていつまでも皆に幸せを運んでくれたのだ。

Fin
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