私の理想の王子様
 柔らかな風が吹く中、鐘の音が響き渡る。

 ウエディングドレスに着替えた朝子は、参列者とともに朝子を待つ須藤の前へと静かに足を進めた。


 ベールを被った朝子の顔を見た瞬間、須藤は小さく瞳を開く。

 朝子が目の前に立つと、須藤はにっこりとほほ笑んだ。

「さっきの朝哉クンも綺麗だったけど、今の朝子はその何倍も綺麗だ」

 素直に自分の気持ちを伝えてくる須藤に、朝子は照れたように頬を真っ赤にした。

 そういう須藤も、今まで見たどの漫画のヒーローよりも何倍もカッコよく眩しかった。

「瑛太さんも、本当に素敵です」

 恥じらいながら顔を上げる朝子に、須藤は口元を引き上げる。


「じゃあ行こうか」

「はい」

 鐘の音が再び鳴り響き、オルガンが結婚式のメロディを奏でだす。

 朝子は須藤の腕にしっかりと手を添えると、ゆっくりと一歩一歩足を進めた。


 途中そっと顔を上げると、良く見知った皆の顔が見える。

 さっきまでイベント会場にいた由美は、汗を拭きながらも割れんばかりの拍手を送っている。

 その隣には、舞台スタッフを抜けだして駆けつけてくれた間宮、そしてプロジェクトメンバーの面々。

 そして涙を流しながら手を叩いているのは智乃だ。


「ミチルちゃんだよ」

 須藤がささやく様に声を出し、朝子が顔を向けると、カメラを構えるミチルがいる。

「ミチルさん、イベントにも来てくれたんです」

 朝子が答えると、須藤は「そうか」と嬉しそうにほほ笑んだ。
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