私の理想の王子様
切れ長の目に薄い唇、真っすぐに通った鼻筋という、王子様のテンプレみたいな人である。
するとイケメンは、柔らかそうな少し長めの前髪をくすりと揺らすと、のぼせた朝子の耳元にそっと顔を寄せた。
「画面が開いたままだったので、閉じておきましたよ」
「へ?」
イケメンはウインクしながらそう言うと、何事もなかったかのようにスッと朝子に背を向ける。
あまりにもスマートなイケメンの対応に、ぽーっとしたまま電車を降りた朝子は、ホームでスマートフォンの画面を表示させて絶句した。
画面いっぱいに大写しになっているのは、あの濃厚キッスだ。
「くぅ……あのイケメン、絶対にこの画面見たでしょう!?」
朝子はわなわなとスマートフォンを持った手を震わせると、もう既に走り去って遠く小さくなった電車のテールライトを睨みつける。
あんなにスマートな対応ができるのだから、余計な一言を言わなければ良いものを。
「だからリアルに王子様なんていないのよ!」
朝子は、ふんっと鼻を鳴らすと、会社へと向かって改札をぬけたのだ。
するとイケメンは、柔らかそうな少し長めの前髪をくすりと揺らすと、のぼせた朝子の耳元にそっと顔を寄せた。
「画面が開いたままだったので、閉じておきましたよ」
「へ?」
イケメンはウインクしながらそう言うと、何事もなかったかのようにスッと朝子に背を向ける。
あまりにもスマートなイケメンの対応に、ぽーっとしたまま電車を降りた朝子は、ホームでスマートフォンの画面を表示させて絶句した。
画面いっぱいに大写しになっているのは、あの濃厚キッスだ。
「くぅ……あのイケメン、絶対にこの画面見たでしょう!?」
朝子はわなわなとスマートフォンを持った手を震わせると、もう既に走り去って遠く小さくなった電車のテールライトを睨みつける。
あんなにスマートな対応ができるのだから、余計な一言を言わなければ良いものを。
「だからリアルに王子様なんていないのよ!」
朝子は、ふんっと鼻を鳴らすと、会社へと向かって改札をぬけたのだ。