私の理想の王子様
午後、大きな悲鳴にも似た叫び声がフロア内に響き、パソコンに向かっていた朝子は、ビクッとディスプレイから顔を上げる。
朝子が働くボウ・ボーテは、社員数はさほど多くなく、ワンフロアに社長室以外のすべての部署が集まって仕事をしている。
各部署は島状にデスクを合わせているが、どうも声を上げたのは、由美がいる百貨店事業部の島のようだった。
「ノベルティが届いてないって、どういうこと!?」
由美の悲痛な声に、辺りは一瞬にしてシーンと静まり返っている。
息をのんだままカレンダーに目をやった朝子は、やっと状況が飲み込めた。
百貨店ではシーズンごとに、購入者にプレゼントをつける企画をおこなっている。
プレゼントするものはノベルティと言って非売品のポーチだったり、メイクブラシだったり様々だが、数量限定企画のためノベルティ目当てで初日に来店するお客様も多いのだ。
「確か今回のオータムフェアは、明日が初日だったはず……」
どうも話を聞くと、一つの店舗で発注ミスがあり、明日から使用するノベルティが手元にない状態になっているようだ。
「物流倉庫からの移動は間に合わないので、とりあえず明日の午前中の分だけでも、他の店舗から融通させますか?」
別の女性社員の声に、由美は大きく両手を振る。
朝子が働くボウ・ボーテは、社員数はさほど多くなく、ワンフロアに社長室以外のすべての部署が集まって仕事をしている。
各部署は島状にデスクを合わせているが、どうも声を上げたのは、由美がいる百貨店事業部の島のようだった。
「ノベルティが届いてないって、どういうこと!?」
由美の悲痛な声に、辺りは一瞬にしてシーンと静まり返っている。
息をのんだままカレンダーに目をやった朝子は、やっと状況が飲み込めた。
百貨店ではシーズンごとに、購入者にプレゼントをつける企画をおこなっている。
プレゼントするものはノベルティと言って非売品のポーチだったり、メイクブラシだったり様々だが、数量限定企画のためノベルティ目当てで初日に来店するお客様も多いのだ。
「確か今回のオータムフェアは、明日が初日だったはず……」
どうも話を聞くと、一つの店舗で発注ミスがあり、明日から使用するノベルティが手元にない状態になっているようだ。
「物流倉庫からの移動は間に合わないので、とりあえず明日の午前中の分だけでも、他の店舗から融通させますか?」
別の女性社員の声に、由美は大きく両手を振る。