私の理想の王子様
「それしか方法はないけど……でもこれから大事な商談が入ってるから、うちの部署は動けないわよ。誰か店舗のスタッフを呼ぶしかないわね」
由美の困り果てた様な声がむなしく響いた。
ボウ・ボーテはいわゆる中小企業だ。
部署ごとの人員も少なく、どの部署も日々かつかつで仕事をしている。
急に動いて欲しいと言われても、外出するのは厳しいだろう。
(でも……)
話を聞いていた朝子は、パソコン画面に向き直ると、自分のスケジュールを確認する。
今日のタスクは全て終了しているし、今は余裕のある時期だ。
(私なら動ける)
朝子は立ち上がると、遠慮がちに手を上げた。
「あの、私が行きましょうか?」
その声に、由美や他の社員が一斉にこちらを振り返る。
「朝子ちゃん、助かる! でも本当に大丈夫?」
由美は朝子に駆け寄ると、途端に眉を下げた。
「急ぎの業務は終わってますし、私なら動けます。課長いいでしょうか?」
朝子が振り返ると、課長がグッと親指を立てるのが見える。
「困った時はお互い様。今日はそのまま直帰していいからね」
その声に由美がいち早く反応すると、朝子の両手を握った。
「今度ちゃんとお礼するから、よろしくね!」
「はい。任せてください!」
朝子はガッツポーズを見せると、身支度を整えて駆け足で会社を後にした。
由美の困り果てた様な声がむなしく響いた。
ボウ・ボーテはいわゆる中小企業だ。
部署ごとの人員も少なく、どの部署も日々かつかつで仕事をしている。
急に動いて欲しいと言われても、外出するのは厳しいだろう。
(でも……)
話を聞いていた朝子は、パソコン画面に向き直ると、自分のスケジュールを確認する。
今日のタスクは全て終了しているし、今は余裕のある時期だ。
(私なら動ける)
朝子は立ち上がると、遠慮がちに手を上げた。
「あの、私が行きましょうか?」
その声に、由美や他の社員が一斉にこちらを振り返る。
「朝子ちゃん、助かる! でも本当に大丈夫?」
由美は朝子に駆け寄ると、途端に眉を下げた。
「急ぎの業務は終わってますし、私なら動けます。課長いいでしょうか?」
朝子が振り返ると、課長がグッと親指を立てるのが見える。
「困った時はお互い様。今日はそのまま直帰していいからね」
その声に由美がいち早く反応すると、朝子の両手を握った。
「今度ちゃんとお礼するから、よろしくね!」
「はい。任せてください!」
朝子はガッツポーズを見せると、身支度を整えて駆け足で会社を後にした。