天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~

~悪魔の誓い~

「2人きりで話すだなんて亜魔野組は随分と強気だな……。仲よくするつもりなんてないんだろう?」

四霊組の会長は随分とよく喋る。その強欲さで人を操り、俺らの組をも滅ぼそうとした。たくさんの人を巻き込み天の家族をも殺した。


「亜魔野組は何があっても滅びませんよ。ただ、うちの領域を少し分けてやっても構わない。何の取引をしようと勝手だが条件がある。」
「随分と気前がいいな……。ひとまず条件を聞くとしよう。」


「表向きは亜魔野組の傘下に四霊組を置く。ただし、一般人を二度と巻き込まない、そして今いる組員を全て出頭させることを約束しろ。薬の取引も殺人ももう二度とさせません。亜魔野組に従い真っ当な商売をしろ。」

「ヤクザの身分で真っ当な商売だなんて面白い若頭だね。狙いはなんだ?」


そんなものは最初からない。ただ、罪を償わせたかった。冠木町を守るだけでなく、誰にとっても幸せな街を作りたい。気づいたらそう願っていた。


これは天の影響だろう。人の幸せを願うヤクザなんて見たことも聞いたこともなかった。


だからこそ、俺が……亜魔野組がその道を示すべきだと誓った。


「勤めに出すのは構わないが、ヤクザがムショから出られると本気で思っているのか?」
「出てこられない奴はそのままムショで朽ち果てるがいい。だが、心を入れ替えようとする人間を切り捨てるようなことはしない。」



我ながら気持ちの悪い言葉だと思う。でも……天ならこう言うと思った。



どんな人間でも悪事に手を染めることはある。そこで見捨てることはたしかに簡単だ。だが、そこで拾い上げどう導くか……それがこれからの俺らの生き方に必要なものだ。



叔父貴に聞いた天の言葉。

≪暴力に明け暮れていたら、積みあがるのは屍だけ。今まで積み上げてきたものが血にまみれたものなのだとしたら、これからは人々に受け入れてもらえるようなものを積み上げていけばいい≫



まさにその通りだと思う。しきたりに従いいつまでも終わらない地獄を続けることは簡単だ。だけど…救われるものは何も無く失っていくだけ。

そんな未来は……そんなしきたりはもう必要ない。


「表向きは和解ということで構いませんね?もし異論があるなら、この場であなたの頭を撃ちぬきます。」


銃口を四霊に向ける。怯むことなく笑顔を向ける四霊には恐ろしさを感じる。だがもう、答えは決まっていた。



「いいだろう、四霊組は私も含め総員刑務所送り、出所した者から亜魔野組の傘下に入ろう。」


なんて生ぬるいやりとり……言葉の交わし。


でも、1つだけ分かることもあった。


天の考え方は……思いは最初から何一つ間違っていなかった。


人に優しさを与えるというのは偽善ではなく博愛。そして、世の中にはその愛情を求めるものがたくさんいる。




天の優しさに触れて変わった俺たち亜魔野組のように、これからの未来たくさんの人間が今までと生き方を変える時がくる。



その時、亜魔野組はただの荒くれた組ではなく、寄り添えるような組でいたい。


「まさかこの私がこんなにも平和な和解をするとは思わなかったよ……。亜魔野組は本当に興味深い組ですな……」
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