Good day ! 6
四人でシップに向かいながらも、大翔は頑なに口を閉ざす。

「相澤キャプテンがオブザーバーシートで見学されるなんて、緊張するなあ。がんばらないと、英語の発音」

カレーのしょうちゃんが、にこにこと話しかけてくるが、大翔の耳には入らない。

とにかく無の境地でシップに乗り込んだ。

まずは慣れたB787ということもあり、コックピットに入ると気持ちが落ち着いてきた。

(よし、このまま集中しよう)

だがCAとのブリーフィングに立ち会った大翔は、またしても衝撃を受ける。

「えー、皆様。本日も張り切って参りましょう。この便は藤崎キャプテンと、わたくし野中 翔一が担当いたします」

えっ!と、大翔は驚いて顔を上げた。

(カレーのしょうちゃんは、翔一というのか。いや、そっちじゃない。野中? それって、まさか……)

まじまじと顔を見つめて確信する。

(どう見ても野中部長にそっくりだ。間違いない、カレーのしょうちゃんは、野中部長のお子さん。ということは……。あ、なるほど! 野中部長が彼女のことを親しげに『舞ちゃん』と呼んでいたのは、息子の彼女だからか。じゃあ少なくとも、野中部長は認めているんだな、しょうちゃんと彼女の交際を。果たして佐倉教官は……)

隣に立つ大和の顔をそっとうかがっていると、男性のチーフパーサーが口を開いた。

「チーフの泉です、よろしくお願いいたします。コックピットには佐倉さんも入られるんですか?」

大和は頷いて答える。

「ああ、私もオブザーバーシートに座る。よろしく」

「はい! こちらこそ。お二人がご一緒にコックピットにいらっしゃるなんて、感無量です」

泉だけでなく、その場にいたCA全員が、一斉にパッと明るい表情を浮かべた。

(なんだ? これが日本の、あうんの呼吸というやつか)

日本にはまだまだ馴染めそうにないと、大翔は小さくため息をついた。
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