Good day ! 6
ブリーフィングが終わるとコックピットに戻り、オブザーバーシートに座った。

こうして後ろから見学するのは新鮮で、特に機長の動きは勉強になる。

(本当にすごいな、藤崎キャプテンは。タキシングも丁寧で揺れが少ない。それにちゃんとコーパイの動きにも気を配っている)

翔一がチェックリストを読み上げて指差し確認するのを、恵真は前を見ながら視界の隅に捉え、わずかに頷きながら聞いていた。

やがて管制官から離陸の許可が伝えられる。

『JW57. Wind 260 at 5. Runway 16 Left. Cleared for takeoff』
「Runway 16 Left! Cleared for takeoff! JW 57!」

翔一は、全ての語尾にびっくりマークがつくような声でリードバックした。

「では行きましょう。Cleared for takeoff」
「はい! お願いします!Cleared for takeoff!!」

機体が動き出すと、エンジン音に負けじと、更に翔一の声は大きくなった。

「スラストー、セーット!」

独特な翔一のコールが、大翔は気になって仕方ない。

(なにかのスポーツのかけ声みたいだな。いや、戦隊ヒーローの必殺技か?)

対気速度が80ノットに達した。

「エイティー、ノッツ!」
「Checked」

冷静な恵真の声が際立つ。

「ブイー、ワン!」

え、犬がいたぞ?

「ゥローテーイトゥ」

なんだその発音は!?

「ポジティブー、レイト!」
「Gear up」
「ラジャー! ギアラーップ!」

大翔は心の中で己に言い聞かせる。

(いいか、カレーのしょうちゃんと飛ぶ時は、どんな癖のあるコールでも動揺するなよ)

事前に知ることが出来たのが、今日のなによりの収穫だった。
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