新堂さんと恋の糸
そして迎えた週末の土曜日――個展のレセプション当日。
私は夜ごはんは何か手の込んだものでも作ろうかと午後からスーパーに買い物に出て、帰ってくると十五時近くだった。
(もう少ししたら、レセプションも終わる頃なのかな)
考えないようにしたくても、ふとしたときについ思い浮かんでしまう。私は料理にでも集中しようとキッチンに立ったとき、テーブルに置いていたスマートフォンが鳴った。
私はいったん作業の手を止めると、登録されていない知らない番号からの着信だった。
(誰だろう?仕事関係は大体登録してあるはずだけど……)
不思議に思って、着信音が鳴る間少し逡巡してから通話ボタンを押した。
「…はい、もしもし?」
「あ、その声ってポメ子さん?」
聞こえてきた予想外の声に、私はびっくりしてしまう。
「もしかして、玲央くん……?」
「あーやっぱり、これポメ子さんの電話番号だった」
新堂さんだけでなく玲央くんとも会うことがなくなったので、声を聞くのは久しぶりだった。初めは複雑だった玲央くんのポメ子さん呼びも、今は懐かしくて嬉しいなんて、我ながら単純だなと思う。
「あれ、どうしてこの番号……?」
「新堂さんのデスクにあるパソコンに付箋で貼られてさ、これってポメ子さんのかなーって思ったんだけど合っててよかった。今どこ?何してるの?」
私は夜ごはんは何か手の込んだものでも作ろうかと午後からスーパーに買い物に出て、帰ってくると十五時近くだった。
(もう少ししたら、レセプションも終わる頃なのかな)
考えないようにしたくても、ふとしたときについ思い浮かんでしまう。私は料理にでも集中しようとキッチンに立ったとき、テーブルに置いていたスマートフォンが鳴った。
私はいったん作業の手を止めると、登録されていない知らない番号からの着信だった。
(誰だろう?仕事関係は大体登録してあるはずだけど……)
不思議に思って、着信音が鳴る間少し逡巡してから通話ボタンを押した。
「…はい、もしもし?」
「あ、その声ってポメ子さん?」
聞こえてきた予想外の声に、私はびっくりしてしまう。
「もしかして、玲央くん……?」
「あーやっぱり、これポメ子さんの電話番号だった」
新堂さんだけでなく玲央くんとも会うことがなくなったので、声を聞くのは久しぶりだった。初めは複雑だった玲央くんのポメ子さん呼びも、今は懐かしくて嬉しいなんて、我ながら単純だなと思う。
「あれ、どうしてこの番号……?」
「新堂さんのデスクにあるパソコンに付箋で貼られてさ、これってポメ子さんのかなーって思ったんだけど合っててよかった。今どこ?何してるの?」