新堂さんと恋の糸
 「泉ちゃんと、いつからそういう関係なの?」
 「なんの関係もない。櫻井はただの編集者だ」
 「ごまかさないで。私はあの子の上司で教育係なの」
 「だからなんだ?」

 取り返したそれらをファイルに戻して店を出る準備をしていると、麻生が俺の腕を掴んだ。

 「社内的にはっきり明示されてないけど、編集者が仕事相手と“そういう関係”になるのはNGなの」

 麻生が言っていることは分かる。
 クライアントとの関係は慎重になるべきだというのだろう。

 「事務所にはアシスタントがいるし、業務中は編集と取材対象以外の何物でもない」
 「その『取材』が問題なの。新堂くんはこれまでずっと取材を断ってきたじゃない。それなのにどうして泉ちゃんの取材は受けることにしたの?」
 「何が言いたい」
 「もしも業界でこのことが知られたら、新堂くんを取材できた泉ちゃんは『枕営業で仕事を取った』なんて噂が広まるかもしれないのよ?」
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