新堂さんと恋の糸
 「麻生が流出の件について話さない限り渡す気はない。言っとくが裏から入ろうとしても無駄だ。この前に事務所に変なやつが乱入したこともあって、今回は不審者対策で警備を厳しくしてる」

 招待状にあるコードを読み取らないと入場できない。つまり、招待状がなければ会場内に入れず写真も撮れないし、何より記事を書こうにもネタがない。すでに個展特集を組むことは告知済みだから、今さらメイン企画を差し替えるのは難しいだろう。

 「どうする?締切までにろくな記事も書けず、会場模型の写真だけ載せるか?」

 プライドの高い麻生が、そんな記事を許すとは思えない。つまりこれは、ほぼ詰みの状況だ。

 「別に誰にも話す気はないし、実際どうやったのか興味があるだけだ。《同期生のよしみ》だ、本当のことを話せよ」

招待状を見せつけながら、睨みつけてくる視線を軽く受け流す。
麻生は俺の考えが変わらないと見ると、観念したように長く息を吐いて口を開いた。

 「――そうよ、全部私がやったの」
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