新堂さんと恋の糸

14. 紡いだ糸はどんな色

 私が新堂さんの取材を取ってきたこと。
 それがきっかけで、図らずも編集部内での評価が上がってしまったこと。そんな嫉妬にまったく気づかないまま、今まで通りの笑顔で杳子さんを慕っていたこと。

 その全部が、許せなかったのだと――杳子さんは言っていたらしい。

「杳子さんが……?」

新堂さんからすべてを聞かされても、どこかでまだ何かの間違いであってほしいと思ってしまう。

 「どうしても信じられないなら、録音のコピーがあるけど」
 「それは……大丈夫です」

 杳子さん本人の口から話しているのを聞く勇気はなくて私は断った。

 『泉ちゃんどう?この編集部の仕事も慣れてきた?』
 『今度の休みって予定ある?よかったらこのお店一緒に行こう』

 転属したときから気にかけてくれている――そう思っていたのは私だけだったのだろうか。

 (ううん、きっとどっちも杳子さんなんだ……)

 自分を気遣ってくれる杳子さんにどこか甘えていたかもしれない。私が作る提案書を確認したり記事を校正してくれていたけれど、内心はそんな複雑な思いを抱えていたなんて想像できなかった。


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