新堂さんと恋の糸
今日は差し入れを持って、久しぶりに事務所へ向かっていた。
雑誌での連載記事が終わって仕事での繋がりはなくなったけれど、こうして休日にときどき顔を出している。
その途中で書店の前を通りかかって、私はあることを思い出してお店に入ると目当ての雑誌を見つけて手に取った。
それは他社のデザイン雑誌。
パラパラとめくると、そこには梓真さんのインタビュー記事があった。
(やっぱり今日が発売日だった)
最近梓真さんは、少しずつメディアの取材を受けるようになっている。
『玲央を守るためにと思ってそうしてたけど、あいつも前に進もうとしているし。
これからはたとえ面倒でも、取材を受けることで泉を守ることになるならその方がいいと思って』
衒いもなくそう告げられたときのことを思い出して、じんわりと顔が熱くなる。
私はお会計を済ませると、足取りも軽やかに事務所へ辿り着いた。
「こんにちは」
「いらっしゃいポメ子さん、あっ、それいつものドーナツ?」
「そうですよ、はいどうぞ」
箱を開けると玲央くんが一番好きなチョコレートに手を伸ばす。私もどれか食べようかと箱を覗いていると、奥から梓真さんもやってきた。
「遅かったな」
「ドーナツ屋さんで結構並んじゃって」
「玲央、時間大丈夫なのか?」
「んーもうすぐ出るよ」
そこで私はようやく、玲央くんがいつものフード付きパーカーの下にボタンダウンのシャツを着て、右肩にリュックを引っ掛けていることに気がついた。
「玲央くんどこかに行くの?」
いつの間にか2個目のドーナツを頬張っていた玲央くんが私を見て、実はね、と微笑む。
「俺さ、専門学校に通い直そうと思って」
雑誌での連載記事が終わって仕事での繋がりはなくなったけれど、こうして休日にときどき顔を出している。
その途中で書店の前を通りかかって、私はあることを思い出してお店に入ると目当ての雑誌を見つけて手に取った。
それは他社のデザイン雑誌。
パラパラとめくると、そこには梓真さんのインタビュー記事があった。
(やっぱり今日が発売日だった)
最近梓真さんは、少しずつメディアの取材を受けるようになっている。
『玲央を守るためにと思ってそうしてたけど、あいつも前に進もうとしているし。
これからはたとえ面倒でも、取材を受けることで泉を守ることになるならその方がいいと思って』
衒いもなくそう告げられたときのことを思い出して、じんわりと顔が熱くなる。
私はお会計を済ませると、足取りも軽やかに事務所へ辿り着いた。
「こんにちは」
「いらっしゃいポメ子さん、あっ、それいつものドーナツ?」
「そうですよ、はいどうぞ」
箱を開けると玲央くんが一番好きなチョコレートに手を伸ばす。私もどれか食べようかと箱を覗いていると、奥から梓真さんもやってきた。
「遅かったな」
「ドーナツ屋さんで結構並んじゃって」
「玲央、時間大丈夫なのか?」
「んーもうすぐ出るよ」
そこで私はようやく、玲央くんがいつものフード付きパーカーの下にボタンダウンのシャツを着て、右肩にリュックを引っ掛けていることに気がついた。
「玲央くんどこかに行くの?」
いつの間にか2個目のドーナツを頬張っていた玲央くんが私を見て、実はね、と微笑む。
「俺さ、専門学校に通い直そうと思って」