婚約破棄されたぽちゃOL、 元スケーターの年下ジムトレーナーに翻弄されています
第16話:「大人はね、思い出があれば頑張れるんだよ」
冷たい雨が降っていた。
傘を差さずに外に出れば、一分も経たないうちにびしょ濡れになってしまう程の雨だ。
大粒の雨が窓を叩きつけるのを、フィットネスバイクを漕ぎながらながめていた。
今日はパーソナルトレーニングではなく、フィットネスジムで自由にトレーニングをする日だった。
悠貴は休みの日なので、うっかり会ってしまう心配をすることもない。
ひとりでぐるぐるとペダルを漕ぎながら、頭の中で次に悠貴に会った時に、どう話をしようかシミュレーションしていた。
トレーニング中……は、絶対ダメだ。
というか普通に体力的にも筋肉的にもしんどいので、ちゃんと話せる気がしない。
休憩中もやめたほうがいい。
五分やそこらで決着がつく話なら、こんなに悩んでいないのだ。
やっぱり、時間を取ってもらってどこかでゆっくり話した方がいい。
話しやすいのはカフェだろうか。
あまり落ち着いたご飯屋さんとかだと、なんだか喋りづらい気がする。
……ふたりきりで出かけるなんて、嬉しいことのはずなのに。
ワクワクと計画を立てられないことが残念だった。