婚約破棄されたぽちゃOL、 元スケーターの年下ジムトレーナーに翻弄されています

「……えっと、ほんとに俺いて大丈夫?」

 リビングに戻ると、玲央が膝を抱えて小さくなって待っていた。

「うん」

 努めて明るく返すと、玲央もいくらか安心したようだった。

「なにか食べる? 冷凍のうどんならあるけど」
「じゃあ玉子うどんでも作ろっかな」
「玲央が作ってくれるの?」
「もちろん」

 キッチンへ移動しようと立ち上がった玲央が、カウンターに置いてあるチラシや紙類を見て足を止めた。

「姉ちゃん、これ契約書早く出しなよ」
「え?」
「こんなとこ置いといたら忘れるよ」

 すっかり忘れていた、今月末までに出さなければならないジムの契約書だ。

 これを出さなければ、あと三日でジムの契約は切れてしまう。
 書類を手に取って、文字を流し読みする。

 パーソナル契約の「香原悠貴」という文字に、目が留まる。

「……姉ちゃん、どうしたの?」
「なんでもないよ」

 持っていた書類を裏に返すと、もう見ないようにとそのままカウンターの奥へと押しやったのだった。
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