二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 きっと、桐島くんを知る前だったら、この無言の時間に胃をキリキリと痛めていたことだろう。
 だけど、彼を知ったいま、この一時の間ですら心地いいと思える。むしろ、この静かな時間が永遠に続けばいいと思った。


「……あ、タクシー来たよ」
「そうみたいですね」

 暫くして、ロータリーにやってきたタクシーを見てベンチから立ち上がる。
 だけど、なぜか桐島くんは立ち上がらなかった。

「行かないの……?」
「いえ、行きますけど。その前にひとつ、確認しておきたくて」
「確認……?」
「今日、俺とここまで来たってことは、芳野さんも俺と同じように想ってくれているってことですよね?」

 やっとベンチから立ち上がった桐島くんに、軽く体を引き寄せられる。
 そのままぎゅうっと抱き締められて、あ、う、と情けない声が漏れた。

「ふっ、ははは……! 驚きすぎです」
「だって……!」

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