二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「えーっと、その……。嬉しいっていうのは冗談、だよね……?」

 社内でも寡黙だけれど、仕事もできてイケメンだと密かに人気のある後輩くんが、まさかこんなオタクの私に恋なんて。

 天地がひっくり返ったってありえないはずだと笑いそうになるも、桐島くんは一切表情を崩さない。
 それどころか、はぁ……と呆れ混じりのため息までつかれてしまった。

「冗談ではないですね。ずっと、芳野さんのこと狙ってたんで」
「ねらう……」
「わかりませんか? 眠っていたあなたに肩を貸したのも、こうして知らない駅までついてきたのも、芳野さんのことが好きだからですけど」
「……っ」

 驚きのあまり、言葉が喉につっかえて何も出てこない。

 ――何か、何か言わなくちゃ。

 そう思ったとき、暗いロータリーにタクシーのヘッドライトが飛び込んできた。
 その明かりで、彼の横顔の陰影がくっきりと浮かび上がる。

 彼は私から視線をそらすと、タクシーの方を見た。
 
「あっ、タクシー来ましたね」
「ちょ、桐島くん!?」
「早く行かないと。スルーされたら困りますし」

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