二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 まるで、先ほどの告白などなかったかのように、桐島くんがタクシー乗り場に向かって歩き出す。

 私も慌てて彼の背中を追いかけると、乗らずに待っていてくれた桐島くんに奥へどうぞと促された。


「こんばんは。行き先はどちらまで?」

 タクシーの運転手に行き先を尋ねられ、お互いに家の住所を告げる。

 そのとき、彼の家が存外遠くないことに気付いた。
 それでも私が使っている駅よりも都内側で、彼にとっては私以上に長い区間を乗り過ごしたことになる。

 ――私が眠りさえしなければ、早く降りれただろうに……。

 申し訳ない気持ちになるのと同時に、そこまでして私に肩を貸してくれたことに気付いて、先ほどの告白が急に熱量を持ちはじめた。

「もし眠くなったら、俺に寄りかかってください。また肩、貸しますから」

 そんな悶々と思い悩む私のことなどつゆ知らず、桐島くんが肩を貸してくれるという。
 もう絶対に寝ないとムキになって答えれば、彼の表情がふっと柔らかくなった。

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