29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
「信号、大丈夫ですか?もうすぐ、青ですよ」

「わかってるって」

何事もなかったかのように、藤川は運転に戻った。

レイナは藤川に気づかれぬよう、ひそかに深呼吸で心音を整えた。

八王子簡易裁判所への書類提出と、府中の法律事務所への資料返却は恙無く終了し、日が傾き始める頃には帰途に就いた。

「今日はこの後は予定はある?」

コインパーキングに停めた車に乗り込み、クーラーが効くのを待ちながら、藤川が訊いてきた。

「いえ、何も」

「そしたら家まで送るよ。住所、教えてもらっていい?」

カーナビをいじりながら、何気なく藤川が言う。レイナは無言になった。

「どうしたの?」

悲愴な顔つきをしていたのだろう。藤川は驚いていた。

「あの、結構です。この車が置いてある駐車場に戻してください。そこから帰りますから」

「えっ?なんで?別に家に上がりこもうとか企んでないよ。それとも遠いの?レイナはいつも上野方面です、としか言わないから、下町かなと思っていたけど、千葉かな?」
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