29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
9 ノンアルコールカクテル シンデレラ

「レイナ、いつまで心の武装を続けるの?」

藤川の運転する車が完全に見えなくなった後、堰を切ったようにレイナの涙腺が溢れた。止めようと試みたが、無理だった。

仕方なく、レイナは目の前にある公園の繁みにしゃがみ、涙が退くのを待った。

レイナは人前では泣かない。

一人であっても、滅多に涙を流さない。最後に泣いたのは、一度目の司法試験に落ちた時だ。その前はいつだったか、定かではないが、その原因は悔し涙であったことに違いはない。

涙なんて、とうの昔に涸れ果てた、とさえ最近は思っていたほどだ。

今、泣いているのは、何故なのか。

鞄からタオルハンカチを出して、頬を拭った。そして目頭を押さえて、終わりにしようと思っても、とめどなく込み上げるものを停止させることはできなかった。

どころか、呼吸が乱れ出した。過呼吸の徴候だ。

ベンチに移動し、体勢を変え、意識障害に陥るのはなんとか免れた。

こうなったら、とことん泣くしかない。レイナは自制を諦め、涙の気が済むまで出し切ることにした。

月明かりに照らされて、夏の夜風になびかれて、レイナはそのまま一時間近く泣いた。
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