29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
座席はまばらに空いているが、レイナは座らなかった。一番後ろの車両に乗り、車掌室とを隔てた壁に背中を預け、車内を見回しながら、東京駅までの時間を過ごした。

次週から始まる新ドラマの中吊り広告が目に入った。米倉すずえ主演の「ドクターV」だ。

そうか。もうそんな時期だったのか。早いな。

華恵からドラマの話を聞いたのが、あの花火の日だ。かれこれ二ヶ月以上も前だ。

こんなに濃かった二ヶ月は、レイナの人生で初めてだったかもしれない。

すでにうだるような暑さは去り、朝晩は肌寒い季節が到来している。

あっという間だったような、遅々としていたような。それだけ濃密なレイナのこの二ヶ月だった。

白衣姿の米倉すずえをぼんやり眺めているうちに、東京駅に着いた。いつものことながら、乗降客でごった返している駅である。

山手線ホームから階段を下り、改札階に出る。まだ三十分ほど、時間がある。

飲食店街にある喫茶店に入り、レイナはお茶を飲んで少し時間を潰した。

今晩、伝えよう。ちゃんと、自分の気持ちを。

もう逃げない。貴方から。
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