29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
田舎の山間部出身で、大学に入学した頃はまだ垢抜けなくて、化粧気もなく、どちらかと言えば野暮ったい印象だった。「藤川君」、と訛りがかって自分を呼ぶ姿は、あどけない少女のようで、可憐であった。

だが、思い当たる節がなかったわけではない。次第に化粧は濃くなり、服装と持ち物が派手になってはいたのだ。それがサインだったのだろう。

会って話をすれば、気が変わってくれるのではないか。

けれども、それも無駄な期待であった。

都心の繁華街の喫茶店で、ほんの一時間ほどしか会う時間を彼女は作ってくれなかった。しかも、別人になれ果てた容姿で現れた。

もちろん、指一本触れさせてもらえなかった。とどめの一発として別れ際に一言、「引っ越したから」と捨て台詞を吐かれた。当たり前だが、新住所を尋ねられる空気を醸してはいなかった。

その後、少しして、別れを告げるメールが届いた。予期はしていたが、実際に目にすると、かなりショックだった。

そこには都会育ちの藤川が理解に苦しむような、元カノの郷里の事情がバックにあった。
< 227 / 254 >

この作品をシェア

pagetop