29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡

「甘えていいの」

「甘えていいの」

マリンブルーのような男性物の化粧品の香りがレイナの鼻孔をついた。ふと見上げると藤川の喉仏が見える。

レイナは下を向いて、話題を変えた。

「ハナちゃんはすごいんです。私と同じ花沢の英会話部出身なんですけど、私は受験英語しか身につかなかったのに、ハナちゃんはペラペラなんです。ニューヨークとロンドンにも行って勉強してたんですよ」

「レイナ...」

わかっている。華恵の恋が叶うことはもうない、と。

そして日を重ねるごとに、嘘をつき続けることが困難になっている、とも。

蘭の種類がこんなに多様であるとは、恥ずかしながらレイナは知らなかった。代表的なのは白い胡蝶蘭であり、星雪歌劇団の男役トップが退団の際に必ずと言っていいほど手にしている。これは同時に退団する他の団員が花の選択に困らないよう、トップは必然的に最も高価な胡蝶蘭にしていると、ファン界隈では噂されている。

だがそんなオーソドックスな蘭はこの温室にはほぼ存在しない。
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