茜くん、ちょっと落ち着こう!?
その日の放課後。両親と高校生のお兄が帰ってくるまで時間があるので、一人で趣味のお菓子作りに励んでいた。
小さい頃から食べることも作ることも好きなので、簡単なお菓子なら気軽に作れるんだ。
試しにプレーンクッキーを作ってみたら、意外にも美味しく作れたので、明日真央やクラスの子達にあげよう!
(クッキーって型抜きの段階になると飽き始めるの何でだろうね〜)
食品倉庫から小さい袋を取り出して、クッキーを数枚入れていく。
紐で結んだら出来上がり!
残った数枚は家族に渡す。最悪お兄に渡したら食べてくれると思う。
家庭科部があれば良かったんだけど......残念ながら私の学校にはない。
次の日、試しに真央にあげるとめちゃくちゃ感謝された。
「めっちゃ嬉しい!ありがとう!!」
どうやら喜んでもらえた見たい。
てきぱきとクラスの子達に渡していくと、みんな喜んでくれた。
「すげーな!綾辻」
「美味しい!お菓子作りが趣味なんだね〜」
そんな風に褒められたら、なんだか少し照れくさい。
味も気に入ってくれると良いんだけど......。
(あと渡していないのは......茜くんだけだね)
教室を見渡しても、まだ登校していないのか姿が見当たらない。
仕方ないので、茜くんの席にクッキーが入った小袋と、『手作りなんだけど、良かったら食べてください』と書いた手紙を添える。
急に自分の机に誰が作ったか分からない食べ物が置かれていたら怖いよね。
ただでさえ茜くんは他クラスや他のクラスの女子にモテるんだから......。
そうこうしているうちに茜くんが登校してきて、机の上に置いた小袋と手紙を交互に見た。
「......」
もう一度見た。
そして大事そうに小袋を通学鞄に入れ、手紙をスマホで撮影している。
(あれ?食べないんだ......)
少し拍子抜けしつつも、そのまま席に戻る。
別に無理に食べてほしかった訳でもないので、あまり気にせず真央との会話に戻った。
それから数日後、廊下を歩いていると茜くんとクラスの男子数人の会話が聞こえてきた。
「なぁなぁ、綾辻から貰ったお菓子、食べた?」
「いや、まだ」
「何でだよ!美味かったのに!?」
「食べたらなくなるだろ?だから食べずに大切に保存している」
「じゃあ手紙は?お前、手紙貰ってただろ」
「小さな傷も付けたくなくて、額縁に入れて飾ってる。写真で撮ったやつはスマホの待ち受けにしてる」
「うわー......綾辻ちゃんのこと好きじゃん」
私はそっとそこから離れた。
(えーっと......これは喜んで良いやつ?)
私的には食べてもらった方が嬉しいけど......せっかく作ったし。あとクッキーってそんな日持ちしたっけ?
「う〜ん......」
まぁ、私が口を挟むことじゃないので、別に彼にそのことを言ったりはしないが。
「どうしたの?いつも能天気な椿芽が考え事なんて」
購買で買ってきたらしいアイスを食べながら、百面相をしている私の顔を覗き込んできた。
「ん〜......考え事」
「なるほど。ついに椿芽は茜くんに告白されたのか......!?」
「違うよ!?」
私は慌てて、真央の口を塞ごうとした。
彼女はそんな手をヒョイとかわして、
「ごめんごめん。他の女子に聞かれたら真央の学校生活、終わるもんね」
なんて、恐ろしいことをさらりと言った。
(私何もしてないのに......茜くんと初対面だったのに)
すると、真央は気まずそうに「えーっと、これ言って良いのか分からなかったんだけど......」と、急に言葉を濁し始めた。
「え、何?気になる?」
言葉を濁されると気になるのが人間というもので......。
「いやー......その、茜くんに抱きつかれて気絶した時あるじゃん」
「うん」
「その時の茜くんの表情って、まるでずっと欲しかったおもちゃを買って貰ったような笑顔だったんだよね......うん」
(なるほど、私はおもちゃ扱いって訳か......)
せめて人間扱いが良かったな〜とか思っていると、「いや、違うでしょ」と呆れながらツッコミを入れられた。
「......今日、兄に相談してみます」
「その方が良いね」
窓から入って来た暖かい風が、前髪を揺らす。
「あ、そうだ、椿芽。今日の放課後空いてる?」
すると、急に思い付いたように聞いてきた。
「うん、空いてるよ」
「良かった〜。今日部活なくて、駅前のケーキ屋さんにお茶しに行こうよ」
「え、ケーキ?行ってみたい!!」
私が目を輝かすと、真央はサッとスマホの画面を私に向けてきた。
そこにはオシャレなケーキ屋さんの外観と、美味しそうなケーキの写真が何枚も載っていた。
「この店、学校から結構近いんだよ。この前、テレビでも紹介されたって」
「行きたい!」
「でしょ?じゃあ決まりね」
「うん!」
どうしよう、めちゃくちゃ楽しみ!!
しかも、私の好きなケーキが何種類も......楽しみだな〜!!
小さい頃から食べることも作ることも好きなので、簡単なお菓子なら気軽に作れるんだ。
試しにプレーンクッキーを作ってみたら、意外にも美味しく作れたので、明日真央やクラスの子達にあげよう!
(クッキーって型抜きの段階になると飽き始めるの何でだろうね〜)
食品倉庫から小さい袋を取り出して、クッキーを数枚入れていく。
紐で結んだら出来上がり!
残った数枚は家族に渡す。最悪お兄に渡したら食べてくれると思う。
家庭科部があれば良かったんだけど......残念ながら私の学校にはない。
次の日、試しに真央にあげるとめちゃくちゃ感謝された。
「めっちゃ嬉しい!ありがとう!!」
どうやら喜んでもらえた見たい。
てきぱきとクラスの子達に渡していくと、みんな喜んでくれた。
「すげーな!綾辻」
「美味しい!お菓子作りが趣味なんだね〜」
そんな風に褒められたら、なんだか少し照れくさい。
味も気に入ってくれると良いんだけど......。
(あと渡していないのは......茜くんだけだね)
教室を見渡しても、まだ登校していないのか姿が見当たらない。
仕方ないので、茜くんの席にクッキーが入った小袋と、『手作りなんだけど、良かったら食べてください』と書いた手紙を添える。
急に自分の机に誰が作ったか分からない食べ物が置かれていたら怖いよね。
ただでさえ茜くんは他クラスや他のクラスの女子にモテるんだから......。
そうこうしているうちに茜くんが登校してきて、机の上に置いた小袋と手紙を交互に見た。
「......」
もう一度見た。
そして大事そうに小袋を通学鞄に入れ、手紙をスマホで撮影している。
(あれ?食べないんだ......)
少し拍子抜けしつつも、そのまま席に戻る。
別に無理に食べてほしかった訳でもないので、あまり気にせず真央との会話に戻った。
それから数日後、廊下を歩いていると茜くんとクラスの男子数人の会話が聞こえてきた。
「なぁなぁ、綾辻から貰ったお菓子、食べた?」
「いや、まだ」
「何でだよ!美味かったのに!?」
「食べたらなくなるだろ?だから食べずに大切に保存している」
「じゃあ手紙は?お前、手紙貰ってただろ」
「小さな傷も付けたくなくて、額縁に入れて飾ってる。写真で撮ったやつはスマホの待ち受けにしてる」
「うわー......綾辻ちゃんのこと好きじゃん」
私はそっとそこから離れた。
(えーっと......これは喜んで良いやつ?)
私的には食べてもらった方が嬉しいけど......せっかく作ったし。あとクッキーってそんな日持ちしたっけ?
「う〜ん......」
まぁ、私が口を挟むことじゃないので、別に彼にそのことを言ったりはしないが。
「どうしたの?いつも能天気な椿芽が考え事なんて」
購買で買ってきたらしいアイスを食べながら、百面相をしている私の顔を覗き込んできた。
「ん〜......考え事」
「なるほど。ついに椿芽は茜くんに告白されたのか......!?」
「違うよ!?」
私は慌てて、真央の口を塞ごうとした。
彼女はそんな手をヒョイとかわして、
「ごめんごめん。他の女子に聞かれたら真央の学校生活、終わるもんね」
なんて、恐ろしいことをさらりと言った。
(私何もしてないのに......茜くんと初対面だったのに)
すると、真央は気まずそうに「えーっと、これ言って良いのか分からなかったんだけど......」と、急に言葉を濁し始めた。
「え、何?気になる?」
言葉を濁されると気になるのが人間というもので......。
「いやー......その、茜くんに抱きつかれて気絶した時あるじゃん」
「うん」
「その時の茜くんの表情って、まるでずっと欲しかったおもちゃを買って貰ったような笑顔だったんだよね......うん」
(なるほど、私はおもちゃ扱いって訳か......)
せめて人間扱いが良かったな〜とか思っていると、「いや、違うでしょ」と呆れながらツッコミを入れられた。
「......今日、兄に相談してみます」
「その方が良いね」
窓から入って来た暖かい風が、前髪を揺らす。
「あ、そうだ、椿芽。今日の放課後空いてる?」
すると、急に思い付いたように聞いてきた。
「うん、空いてるよ」
「良かった〜。今日部活なくて、駅前のケーキ屋さんにお茶しに行こうよ」
「え、ケーキ?行ってみたい!!」
私が目を輝かすと、真央はサッとスマホの画面を私に向けてきた。
そこにはオシャレなケーキ屋さんの外観と、美味しそうなケーキの写真が何枚も載っていた。
「この店、学校から結構近いんだよ。この前、テレビでも紹介されたって」
「行きたい!」
「でしょ?じゃあ決まりね」
「うん!」
どうしよう、めちゃくちゃ楽しみ!!
しかも、私の好きなケーキが何種類も......楽しみだな〜!!