ハニートラップ

早咲きの桜が散って、枝の先から新緑が芽吹き始める4月。
私達は高校2年生になった。

クラス替えで、ミナとマキとは違うクラスになった。

高峰くんとはまた隣同士。
……そのクラスに、俊平もいる。


私が一緒のクラスになったのは――千歳ちゃん。
しかも、前後の席並び。

「……よかった、知ってる人がいて。」

後ろに振り返った千歳ちゃんが、ぎこちなく笑う。
私も曖昧に笑って返した。


『珠桜ちゃん!ダメ……!』

そう言って、高峰くんの元に行くのを止められた日以来の会話だ。

だから私はちょっと気まずい。

千歳ちゃんが気まずそうなのは――


「アレだよな、“高峰久哉のお気に入り”。」


――多分これのせいだ。

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