ハニートラップ
――なんで?
目が合うと、お互いに時が止まる。
高峰くんは素で驚いた顔をしていて、ドクンと胸が波打った。
側に駆け寄りたい様な、何か言いたい様な――
そんな衝動が込み上げてきた時。
「久哉!」
ふわりと軽いミルクティー色の髪を揺らして、“杏奈”さんが高峰くんの背中に飛び付いた。
「ちょっと、速いよ。もう!」
ざわりとして、心臓が凍る。
昨日と違って無造作な髪。
部屋着の様なゆるい服装。
――高峰くんは、制服のままだった。