ハニートラップ
大丈夫、多分ちゃんと笑えてたし、未練がましくもなかった。
道も知らないのにでたらめに走って、何個目かの角を曲がって立ち止まる。
しゃくり上げそうになったのを歯を食いしばって堪えて、目を閉じて深く息を吐き出した。
まだ生々しく残る高峰くんの体温を抱き締めるように、ギュッと自分の両肩を抱く。
ズキズキと胸が痛むのは、どうしたって治らなかったけど。
目を開ける頃には、前を向く。
――ちゃんとするって、決めたから。