エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「りょうかとおじさん、似てた……。ぼくだけ、仲間外れ……」
「そんなことないよ。司は、私にそっくりでしょ?」
「りょうか、取られちゃう……!」
「もう。つかさってば、なんですぐ泣くの? お兄ちゃんなんだから、しっかりして!」

 妹の激励を受けても、兄の機嫌は治る見込みがなかった。

 ――こんな時、父親がいてくれたら……。

 そう願わずにはいられないが、彼の前から姿を消すと決めたのは自分だ。
 泣き言を言っている暇があれば、子ども達のために時間を使うべきだろう。

「こら。司を、責めないの」
「ママ! だって……!」
「帰ろう」

 私は涼花を宥めると、双子と手を繋いでぼんやりと考える。

 ――大門寺さん、かっこよかったな……。

 ただ椅子に座っているだけなのに、大人の色気のようなものが感じられた。
 それは、惚れた弱みか。
 それとも、また別の要因か……。

 30分程度話をしただけなのに、彼の姿が頭からこびりついて離れない。

 ――早く、忘れなきゃ。
 あの人とは、もう二度と会わないのだから……。

 自分に何度もそう言い聞かせると、子ども達と一緒に帰路へついた。
 彼に出会った日のことを、思い出しながら――。
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