エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ケーキのおじさん、次はいつ会うの?」
「どうして……?」
「わたし、またあのおいしいケーキが食べたい!」

 涼花はすっかり、弁護士事務所で出されたケーキの虜だ。
 1ピース100円で販売されているショートケーキとは、理由が違う。

 10倍は違うであろう高級スイーツを一度でも口にしたら、庶民の味には戻れないのだろう。

 ここで「余計なことをしてくれたよね」と恨みを募らせたところで、「ケーキが食べたい」と騒ぐ涼花の機嫌が急降下するだけだ。
 今は不自然に黙り込んでいる司を気にかけるべきだと判断し、声をかけた。

「司? どうしたの?」
「また、あのおじさんに会うの……?」
「うんん。会うつもりはないよ」
「えー!? なんで!?」

 私が不安がる息子を安心させるために解答をすれば、涼花は「どうしてそんな意地悪を言うのか」と納得がいかない様子で繋ぐ指先の力を強める。
 そんな中、司は今にも泣きそうな声で言葉を紡いだ。
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