エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 保育園終わりのケーキを待ち切れない様子でテキパキと登園準備を済ませた涼花と、スナップボタンを一つ止めるだけでも長い時間をかけて全身で行きたくないという気持ちを露わにする司。
 浮かない顔の兄を見かねた妹は、2つに結わた髪をブルンブルンと振り回しながら諭す。

「わがまま言わないの! 保育園が終わったら、おいしいケーキが食べられるんだよ!?」
「でも……」
「もう! 手のかかる、お兄ちゃんなんだから!」

 涼花は「仕方ないわね」とぶつぶつ呟きながら、保育園に行きたくないと泣きべそを掻く兄をサポートした。

「澄花ちゃん。1人で大丈夫かしら?」
「はい!」
「おばあちゃん! 行ってきまーす!」
「待ってよ、りょうか……!」

 私は大門寺さんのことを考えている暇もなく双子と手を繋ぎ、マンションから徒歩5分の保育園を目指した。
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