エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ごめんなさい。いつも双子が、誠くんに迷惑ばかり……」
「全然。いつものことだろ?」
「でも……」
「母さんと澄花さんは、閉店時間までの勤務だよな?」
「うん……」
「子ども達のお迎えは、オレが行くから。そん時におやつのケーキを買って、涼花を宥めとく」
「ありがとう……」

 申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら謝罪をするが、誠くんはそれを受け取ってくれなかった。
 すでに朝食を食べ終えていた誠くんはすくりと立ち上がると、椅子の背もたれに立てかけてあったジャケットを羽織ってビジネス鞄を手に持つ。

「涼花! 司! 誠くんを、お見送りしなきゃ駄目でしょ?」

 私が声を張り上げて子ども達に指示を飛ばすと、食事に集中していた2人はこの場に彼がいることをようやく思い出したらしい。
 空いている手をひらひらと振り、元気いっぱいな様子で見送る。

「まことくん!」
「行ってらっしゃい……」
「おう。保育園でも、いい子にしてるんだぞー!」

 子ども達にそう言い聞かせた彼は、ひと足早く仕事に向かった。

「お腹、いっぱい!」
「保育園、やだ。ぼく、ずっとお家にいる……」

 誠くんを見送って食事を済ませた双子は、再び対称的な反応を見せる。
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