エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 どうやら、この場でさっそくアポを取ろうとしているようだ。
 私はその行動力に驚きながら、慌てて手首を掴んで止めた。

「だ、大丈夫です! そこまでしていただかなくても……!」
「でも……。澄花ちゃんは1人で抱えこんでしまうタイプだから。いつまで経っても行動できないでしょう?」
「子ども達のこともありますし……。今回は、私からきちんと連絡を取りたいのです」
「あなたがそう決めたのなら、無理強いはしないけれど……」

 店長さんが不満そうにスマートフォンをしまった直後、ちょうどいいタイミングで来店を告げるベルチャイムが鳴った。
 私達は同時にそちらのほうへ視線を移し、お客様を出迎えようとしたが――。

「いらっしゃ……」
「中野さん! おひさー!」

 私は最後まで、挨拶ができなかった。
 なぜならば来店した女性は、大門寺さんと口づけを交わし合っていた相手だったから……。

「あら。葵ちゃん。どうしたの?」
「ここで純司の好きな人が働いてるって言うから、来ちゃった」

 葵さんと呼ばれた女性は悪びれもなくそう語ると、こちらに向けて探るような視線を向けた。
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